和装に込められたこと


結婚の歴史の名残で1番はっきりと見えるものがあります。「衣装」です。
日本では和装:打掛・引き振袖が婚礼衣装として現在も用いられていますよね。
打掛の歴史は室町時代の上級階級族が、小袖(着物)の上に防寒着として打ち掛けたことが始まり。白は光や潔白を連想させ、白無垢が主流。以降、色打掛が誕生し、鶴や牡丹、花車の絵柄を織や金箔を使い、その時代に合わせて高級な美術・芸術が表現されてきました。
引き振袖は、元々武家族が嫁入りの際、着こなした婚礼衣装だと言われています。なので引き振袖は帯の結び方1つにも意味があり、嫁入りするまでに他の者に襲われた際は、身に着けている懐剣で戦いやすいよう帯結びは左側を高く、右下を低く、最悪の場合は命を絶つ。
というような、見て知れば当時のことが自然と想像できてしまう、結婚の時代背景のヒントが散りばめられていたりします。


https://anniversarysalonlicht.jp/2019/05/14/%e3%80%8c%e7%b5%90%e5%a9%9a%e3%80%8d%e3%81%ab%e6%b1%82%e3%82%81%e3%82%8b%e9%96%a2%e4%bf%82%e6%80%a7/


日本人としては一度は袖を通してみたい和装。
今でこそ、改まった時に着用するという認識ですが、昔は普段着として着こなされていました。基本直線裁ちの着物は時代の変化に合わせて「柄」「形」を変えながら用途や意味合いの幅も広げてきました。


小物に込められた願い

着物の華やかさ・印象を作るのは、やはり「柄」で、柄1つでも 何を描くのか? その描くために何を用いるのか?「織り」なのか「箔」なのか。織りなら何糸で何織りをしているのか。箔ならどこにどう押し、重ね色合いを表現するのか。
本当に奥が深い世界です。ちょっとやそっとのことで理解しきれないですし、よほどの興味がなければ、その魅力というもの感じないかもしれません。
私自身も本当にさわりだけで、まだまだ感覚的に着物に触れている者だと思います。


前置きが長くなりましたが、そんな私が入りやすくて、柄と同じぐらい印象を作ってくれるのが小物たち。その小物たちは、今や飾りのようになっていますが、親の願いや自身の覚悟の現れを示すものだったということを、私は花嫁さんにお伝えしています。

花嫁5点セット
・懐剣(かいけん):武家族の女性が護身用に持っていた刀です。
嫁ぐまでの道中、何かがあれば身を切る覚悟で挟んでいたとか。

・筥迫(はこせこ):武家族の女性が持ち始めた現代でいうお化粧ポーチです。
蓋を開けば鏡がついていて、かんざしや口紅なども収納されていました。

・末広(すえひろ):扇子です。この扇子は表が金色・裏が銀色と決まっているのですが、金は魔除けを意味されているので、写真など撮る際は金を前に!

・抱え帯(かかえおび):現在はあまり引きずって着物を着ませんが、着物の裾を上げるために用いられていました。
またこの抱え帯には、縫い目がある方と輪になっているほうがあるのですが、輪が上向きなのか?下向きなのかは、地方によって違いがあります。女性への価値観の違いが表れているとか・・

・帯締め/丸ぐけ:通常時は平たい形状を使いますが、婚礼時は丸い筒状に綿を入れたもので締めます。縫い合わせるという意味があります。



現在はネットや通信が発展してくれたおかげで、どこに嫁いだとしても、連絡を取りやすい環境となりました。治安もよくなったと思います。
ですが、やはり親心や結婚することへの覚悟、願いというのは、昔もさほど変わっていないのでは思います。
今は単なる飾りで色合わせなのかもしれない小物たちの意味に触れた時、結婚することの実感がますのではないかな?と私は思います。

私は女性なので、つい女性側に立ち考えてしまいますが、、
懐剣・筥迫・末広はお母様がお仕度時に、1つ1つ入れて下さったそうです。
大事に育ててきてもらったこと。女性に生まれてきてよかったこと。を当時の花嫁さんも感じていたのかな~と。






結びを見る

着物には帯というものが存在しますよね。
・帯
・帯上げ
・抱え帯

抱え帯は先ほど少し触れたのですが、帯の結びにも意味が込められていたりします。

例えば、引き振袖の際は、斜め左に帯が結ばれていることが多いのですが、何かあった際に戦うため、動きやすいように右上(肩回り)を空けるように結ばれたそうです。

また、帯揚げは「結婚するまでは結ばない」という意味が込められています。
なのでご成人の時は、結ばず、交差させたりねじたりでアレンジをされた方も多かったのではないでしょうか。




和装と日本人

このように、和装の世界は日本人の意思、思想、芸術をたくさん反映させながら、発展させてきました。基本的には直線裁ちの生地をよくここまで広げられたな~と現代を生きる私は敬服です。
日本人である私が身にまとう機会の少なさに、疑問を持ったこともありましたが、これ程に込められたものがあり、また着こなすための技術が必要であることを知った時「ここぞ」という時に着用する意味が、少しわかったような気がします。


衿先から足先。衿合わせから帯柄合わせ。隅々までこだわることは当たり前。
それを言葉にせず表現する着物は、終わりと正解がない日本人らしい形ですね。


打掛を選び行く際は「願い」を確かめに行ってみると、面白いのかもしれません。





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